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三つのお約束
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平造脇差 銘 源正雄 安政六年二月日 以知岸内砂鐵造

武蔵国 安政 百五十七年前 刃長 一尺三寸(三九・三糎) 反り 二分 元幅 一寸一分一厘 重ね 二分三厘
金着二重ハバキ 白鞘入 『刀剣美術』昭和六十二年十一月号掲掲載 昭和二十九年新潟県登録

特別保存刀剣鑑定書

 ペリーの黒船が来航したのは嘉永六年。その翌年には日米和親条約が締結され、箱館開港が決定。安政四年に五稜郭が築城され、箱館は対外最前線基地の一つとなっていた。源清麿の高弟として遍く知られ、江戸下谷御徒町に独立していた源正雄に、知岸内村に設置された製鉄所への赴任という特命が降ったのは安政五年。以降正雄は、異郷の地にて祖国防衛の使命を胸に懸命に槌を振るったのであった。
表題の脇差こそ安政六年箱館打ちの作で、南北朝時代の大平造を範に精鍛された剛毅な姿。身幅極めて広く重ね厚く適度に反りが付き、ふくらが張って量感があり、保存状態が万全な茎は浅い筋違鑢で丁寧に仕立てられ、独特の書体の銘字が強く刻されて鮮やかに鑚枕が立つ。板目鍛えの地鉄は棟寄りに僅かに柾が配されて強く錬れ、鍛着面は密に詰み、黒く太い地景が蠢いて地肌に活力が満ち、粒立った地沸が厚く付き光を強く反射して輝き、地肌は曇りなく冴えわたる。刃文は区下焼き込みから始まる焼頭が丸みを帯びた互の目丁子乱で、高低に変化し、真砂のような沸が厚く付いて刃縁明るく、金線、砂流しは物打付近で一段と激しく渦巻状に帽子にまで流れ掛かり、沸匂が充満した刃中には沸足が長く太く射して照度も高い。金線、砂流しを伴う帽子は激しく乱れ込み、火焔状に掃き掛けて浅く返る。迫力満点の姿に地刃が鮮烈に冴え、まさに清麿を見るが如き同作中の傑作である。

注…昭和六十二年、日本美術刀剣保存協会北海道大会鑑定刀五号出品作品。鑑定刀講評に「正雄の上作であるため清麿に入札された方も少なくなかった」とある。


 


 

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