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平造脇差 銘 備州長舩則光 永享四年二月日
切付銘 文久二年九月藤江清光研溜摺落ス(良業物)
 

備前国永 享四年 五百八十三年前 刃長 一尺二寸六分三厘強(三八・三糎) 反り 一分六厘
元幅 八分九厘 重ね 一分七厘 彫刻 表裏 棒樋丸止 金着二重ハバキ 黒茶笛巻塗鞘小さ刀拵入
白鞘付 拵全長 二尺 柄長 四寸五分 昭和三十三年新潟県登録 特別保存刀剣
価額 1,850,000円(消費税込)




 長舩則光の永享四年紀の平造脇差。鎌倉後期の長光門に始まると伝える則光の、今日見る遺作の多くは室町中期以降であり、本作のような室町初期にまで時代の上がる作例は頗る貴重である。
 この脇差は時代の特徴を良く残して身幅重ね尋常、寸法を抑えて反り適度に付き、棒樋が掻かれて洗練味のある姿。地鉄はよく錬れて詰んだ板目肌に杢目が顕著に現れ、小粒の地沸が厚く付いて繊細な地景が能動的に働き、刃寄りに暗帯部を備えた映りが平地に霧のように立って温潤味のある肌合いとなり、これに尖りごころの互の目から煙り込むように働き掛かる態は応永備前の特徴。刃文は腰開き互の目に丁子、片落ち風の刃、袋状の刃を交え、匂勝ちに小沸付いて刃縁明るく、処々の尖刃に飛焼交じり、刃縁ほつれて小形の金線、砂流しが微かに現れ、小足と葉が入り、刃中は匂が立ち込めて水色に澄む。帽子は乱れ込んで先尖って返る。同時代の盛光や康光らに遜色のない見事な仕上がりとなっている。
 附帯する拵は、わずかに濃度の異なる黒茶色が交互に配された笛巻塗の鞘に艶やかな光沢があり、出鮫柄に福々しい布袋図金目貫、赤銅地に彫口の深い龍図の鐔、縁頭、小柄が映えて上々の美観を呈している。
 幕政時代には加賀前田家中の武家に伝来していたとみられ、清次郎清光が所持者の依頼で茎の手入れをした旨が認められている。歴史資料としての興趣も一入の、内外共に得難い逸品である。

注@…応永三十三年紀の短刀(第三十七回重要刀剣)、永享二年紀の短刀(第十八回重要刀剣)、永享十年紀の太刀(第二十一回重要刀剣)などがある。
注A…長禄三年作州鷹取荘黒坂の武士鷹取泰佐の需打の太刀(重要文化財)の作者五郎左衛門尉則光には「青年七十二」と刻した文明九年紀の作があり、生誕年を応永十三年とみて「應永末年より文明にかけて作品を遺した」(藤代版「日本刀工辞典古刀編」)とする見解もある。尚、江戸時代の『古今鍛冶備考』にも同様の説が載せられている。
注B…茎の差裏に、藤江清次郎清光が文久二年に研溜を摺落した旨の切付銘が施されている。入念な鑚使いに本作の優質と歴史性に対する同工の畏敬の念が感得されよう。清次郎清光は幕末期の加賀の優工で、明治九年九月二十九日没(「加州新刀大鑑」)。

 
布袋和尚図目貫  金無垢地容彫

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