: 私の正体は? ―鑑定刀 第十一回【問題】
【第十一回:一振目】
刃長二尺六分五厘強 反り七分九厘 元幅九分五厘 先幅六分一厘
棟重ね二分三厘強 鎬重ね二分六厘半
彫刻 表 棒樋・添樋・梵字・三鈷剣 裏 棒樋・添樋・梵字・護摩箸
身幅広く重ね厚い。鎬筋がやや張っていて、先反りごころで、寸法は詰まっています。
そして鋒は中鋒。茎は短めです。
地鉄は小板目肌が詰み、小粒の地沸が微塵について沸映りが立ちます。
差表に不動明王の梵字と剣、裏に多聞天・大日如来の梵字重彫と護摩箸の彫が映えています。
刃文と帽子は図の通り。
焼高い丁子に小互の目、角がかった刃、尖りごころの刃を交えて逆がかっています。
飛焼が激しくかかっており、皆焼風です。
匂口は締まって明るく、小形の金線・砂流しがかかって足・葉盛んに入り、刃中にも細かな沸の粒子が充満して冴え、激しい感じのする刃文です。
帽子は焼深く、沸づいて殆ど一枚帽子です。
茎は生ぶ。目釘穴二個。浅い勝手下がり鑢。上の目釘穴のところから鎬筋に沿って三字銘、裏に年紀がある。
反りは高く、先反り風で、鎬重ねがやや厚い、そして茎が短いのは・・・いつ頃の時代でしょう?
そして○〇彫と言われる彫刻が見事です。また刃文が皆焼風・・・こういうのはどこの作風でしょうか?
個銘を当てるというより、時代と国を考えてみてくださいね。
【第十一回:二振目】
刃長一尺一寸七分四厘
反り九厘
元幅八分九厘
棟重ね一分九厘
鎬重ね二分一厘
彫刻 表裏 薙刀樋・添樋
冠落造。腰元に薙刀樋があります。その鎬地の肉が削がれ、鎬筋が立っています。
ふくらは枯れて、反りは殆どなく、姿には独特の鋭さがあります。
地鉄は板目肌。無類に詰み澄んでいます。
地景が密に入り、地沸均一について晴れやかな綺麗な鉄色です。
刃文と帽子は図の通り。
刃文は焼頭が丸い互の目が二つ三つと連れています。刃縁は明るく、足が長く射します。金線・砂流しがかかり、焼刃は冴えます。
茎に突っかけるように鑢が掛けられており、処々玉状の鑢跡が残されています。
銘字は目釘穴の下、鎬筋に沿って謹直な楷書体の銘字が刻され、作者のまじめな人柄を現しています。
この人の師匠は天才肌でしたが、自殺してしまいます。
師匠を慕っていたこの刀工はその死後の始末をしています。
そして名人の師匠に似てるとすれば二つあるなあ・・・としみじみした言葉を遺しています。
以上です。
いつもと同様、次月の月刊『銀座情報』(令和6年9年号)掲載品からの出題です。
今回も二振、出題してみました。
如何でしょうか?
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