私の正体は? ―鑑定刀 第五回【問題】
【第五回:一振目】
刃長一尺六寸四分半 反り三分三厘 元幅一寸七厘強 先幅八分一厘強
重ね二分三厘
鎬造。庵棟。身幅広く重ね厚い。反り浅く中鋒ですが、詰まって、がっちりとして力強い。
地鉄は小板目肌。地景が密に入り、地沸厚く付いて肌潤う。
刃文、帽子は刀絵図の通り。焼高い互の目に角がかった刃、矢筈風の刃、尖りごころの刃を交えます。
刃縁の沸厚く、明るく、金線、砂流しかかり、沸足太く入ります。
帽子は浅く乱れ込んで小丸に返ります。
茎は生ぶ。栗尻。鑢は切始めから傾斜を次第次第に急になる筋違。目釘穴1。目釘穴の下、鎬筋に沿って5字の銘があります。
そして差裏に乕徹や三善長道などの刀の試し斬りをしている有名な試刀家の金象嵌試し銘があります。
【第五回:二振目】
刃長一尺七寸五分五厘 反り三分三厘 元幅九分七厘 先幅六分七厘 棟重ね一分七厘 鎬重ね二分一厘
鎬造。庵棟。身幅広く、鎬筋張り、反り浅くついて中鋒。洗練された姿です。
地鉄は板目に杢、刃寄りに柾を交え、つぶらで輝きの強い沸が厚く付いています。
地景が躍動。
この刀工の息子や孫の世代の作は、米ぬかをまいたような感じに沸がついて煌めき、「〇〇肌」※ヒント1と呼ばれています。
が、この刀工の地肌は自然味というか野趣があるのが特色です。
刃文、帽子は刀絵図の通り。
直刃調で、浅く湾れ、刃縁に沸がついて明るく、刃境に湯走り、喰違、二重刃となる。
帽子は掃き掛けて、焼詰めごころに浅く返る。
茎は生ぶ。先剣形。目釘穴は一個。目釘穴を挟んで鎬地に八字銘がある。鑢目は切鑢。
この作の地刃、特に刃文は放胆な趣があります。沸の働き、輝きが顕著です。
こうした古名作の写しを主君の命で製作したりもしています。
以上です。
いつもと同様、次月の月刊『銀座情報』(令和6年3年号)掲載品からの出題です。
今回も二振、出題してみました。
如何でしょうか?
クリックするとメールフォームへ飛びます。
Comments