私の正体は? ―鑑定刀 第五回【解答】
【解答】
一振目:[正解]脇差 銘 大和守安定
金象嵌銘 寛文元年閏八月八日大袈裟片手打截断 山野加右衛門六十四歳切之永久(花押)
問題1は大和守安定の脇差でした。
寛文新刀ですが、極端に反りは浅くなく、先幅も広く鋒が詰まっており、極端な寛文新刀体配ではないですが、元先の幅差があまりつかない、実に力強い、言い方を変えればやや武骨な姿をしています。
しかも金象嵌截断銘がある・・・そうなると、これは、大坂新刀ではないようなあ・・・。
もちろん、大坂新刀にも肥前刀にも截断銘はありますが、截断銘の本場といえば、やはり江戸でしょう。
地鉄は精美な小板目肌です。潤いもあり、冴えています。かなり上手な人ですね。
刃文をみると、浅い湾れに互の目、そして互の目は角がかった形をしています。
帽子に弛みごころがあるのも見所です。
律動的な起伏のある互の目乱刃、そういえば、虎徹の瓢箪刃もこんな感じだったかなあ・・・・。
でも、虎徹かな?でも虎徹とはちょっと違うなあ・・・。虎徹に近い時代の江戸の刀鍛冶の作かも知れないなあ・・・。
茎の鑢目をみましょう。急な筋違鑢ですが、ちょっと変わっています。
傾斜がだんだん急になる筋違鑢。安定の鑢はこういう感じです。
そして裏には金象嵌試し銘があります。寛文元年頃、山野加右衛門永久が試している作は結構たくさんありまして、出来がよく、重要に指定されたりしています。
金象嵌銘
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