私の正体は? ―鑑定刀 第十回【問題】
【第十回:一振目】
刃長一尺五寸二分七厘 反り四分二厘 元幅一寸四厘 先幅七分六厘
棟重ね二分三厘 鎬重ね二分一厘
鎬造。庵棟。身幅広く重ね厚く、反りは腰元からグッとついて中鋒。反りは極端に浅いわけではないです。
地鉄は板目肌に流れる柾を交えています。太い地景が蠢く様に入ってます。
地沸は小粒で、均一についています。とても精美です。
刃文、帽子は刀絵図の通り。
刃文は長めの焼き出しから始まっています。互の目に丁子乱刃。新雪のような沸がついて、明るいです。
玉焼が入って、長い金線、砂流しがかかり、沸筋が流れています。
帽子は金線・砂流しを伴って浅く返る。淡く棟を焼く。
茎は生ぶ。刃上がり栗尻。筋違鑢。目釘穴の上から、目釘穴を挟むようにし、棟寄りに五字銘がある。
この人も名人ですが、息子もまた名手として名高いです。それで「親〇〇」と呼ばれます。
【第十回:二振目】
刃長二尺二寸九分五厘 反り三分五厘
元幅一寸 先幅六分八厘
棟重ね二分四厘 鎬重ね二分二厘
庵棟。やや区送り。それでも身幅充分に広く、反り浅い。中鋒延びごころ。
地鉄は小板目肌。詰む。地沸微塵について肌潤う。
刃文、帽子は図の通り。
刃文は浅い湾れに尖りごころの刃、箱がかった刃を交える。沸厚い。湯走りかかり、刃中に太い沸筋が眩く輝く。
帽子は掃き掛けて小丸(この一門は浅く弛んで突き上げごころに小丸に返る〇〇帽子となる例が多いですね)
茎は区送りで、目釘穴は二個。勅許の裏菊紋の下に六字銘で、受領銘が三字で、姓は一字。名前の二字。鑢目は筋違。茎尻は尖った栗尻。
この刀工の一門は、朝廷の御用を勤め、菊紋を賜ったりしています。姓は一字ですが、この人の親族は藤原だったりします。
以上です。
いつもと同様、次月の月刊『銀座情報』(令和6年8年号)掲載品からの出題です。
今回も二振、出題してみました。
如何でしょうか?
クリックするとメールフォームへ飛びます。
Comments